
年パス最後の一日。ぜいたくな稜線散歩へ。
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昨年初めて購入した千畳敷ロープウェイの年間パスポート。
一年間バスとロープウェイが乗り放題だから、※現在発行中のものはロープウェイのみ
これでいつでもさくっと山に行けるな~とウハウハしていました。
でも実際はなかなか頻繁には行けないもので・・・
期限が9月17日だったんですが、9月頭の時点で行けた回数はたった4回。
まぁ元は取れたから・・・こんなもんかなぁ・・・
いや、ちょっと待て、9月17日って定休日だな。
しかも前日まで天気予報とにらめっこしてみたけど晴れマーク出現。
じゃあせっかくだから最後の日に行ってこよう、ということになりました。
今回のルート▼
千畳敷→極楽平→檜尾岳→檜尾尾根で下山→檜尾橋からバスで菅の台へ
コースタイムは7時間半ほど。
そのうち3時間が檜尾までの稜線歩き。
そのあと4時間半はただひたすらの下り。標高差1,800mくらい。
膝が大爆笑しそうだけど頑張っていってみよー。

菅の台からのバスの始発は6時15分。三連休直後の平日だから空いてるかな?とは思ったんだけどもしも激混みで出発するのに時間がかかるようだと困るな・・・と思い念のため5時過ぎに駐車場に着くように家を出ました。で、現地に着くと・・・ものすごく空いとる( ゚д゚)私らの前に5~6人しかいない。まあ、よかった。でも6時近くになると一台のバスに乗り切れないくらいの人になったので始発5分前くらいに臨時が出まして、我々はそれに乗ることになりました。当然ロープウェイにもすんなり乗れたので、7時ちょい前には千畳敷に到着。

出発前、神社にてチャリンコーン(お賽銭)や二礼二拍手などフルでお参りしていたら後ろで年配のおばさま方が「ちゃんとお参りしてる・・・」と小声で話しているのが聞こえました。普段でもそうですが、こういうところだと特に
「今回も無事故で楽しい登山ができますように」とお願いしたくなってしまうのです。(本当はこういう場面でお願いはしちゃいけないんですよね。日頃のお礼を言うべきなんですよね。でもついつい。)

ひとまず千畳敷から眺める西側の空は真っ青!!そして意外にも気温が高い。まったく寒くない。紅葉の見ごろはまだ先だけど、ほんのり秋色に染まりつつありますね。

伊那前岳の方はガスに飲まれつつある。

そして東の空は雲海。眩しいぜ。

まだ体が動いていないのでなるべくゆっくり登る・・・30分ほどで極楽平に到着。すでに暑いわ。

過去二回は右の三ノ沢へ向かう道を歩いたのですが

今回進むのは左の稜線。ここから未知の領域\(^^)/

歩きはじめてすぐ、右手に三ノ沢への稜線がババンと見えてきました。改めて見ると結構なアップダウンですよね・・・登って下りて登って下りて。

こちらもほんのり秋色。はあ、素敵な稜線だ。

その奥には御嶽山の頭もちょこんと。

お天気も良く風もなく、ごきげんな朝の散歩道。


あっという間にガスが湧いてくる。ざっと前後を見た感じ、このルートを歩いているのは我々含め4組。皆さんはきっと少なくとも空木までは行くんだろうな。・・・とそんなことを考えながら歩いていたら、後ろからハイスピードでやってくるおじさまが!びっくりして立ち止まった私の横をにこやかに通り過ぎ、そのまま登山道を突き進んで行かれました。あの方はどこまで行くんだろうなぁ。

ゆるゆる歩いていると、わあわあ、なんと、素晴らしい景色が見えてきた!

うひょひょー 山また山!雲がまた幻想的で綺麗・・・

檜尾はどれかなぁ・・・おや?

あそこに檜尾の避難小屋らしき建物が見える!じゃあ山頂はあの右側になるのかな。

その先には熊沢岳があって東川岳があって、その向こうに空木が・・・。私の目にはどこがどれやらサッパリ(山座同定苦手です)でもとにかく美しい風景。




歩きはじめてしばらくの間は下りが続きます。そんなに急ではないんだけどちょっとザレてて滑りやすい。実はわたくし、景色に見とれてしまい二度も尻もちをつきました・・・山で転ぶの久しぶり。痛いし恥ずかしいし(;´Д`)き、気を付けなければ。

私の尻もちの原因となった絶景。(山のせいにしてはいけませんね、スミマセンでした。)

同じアングルで2枚も撮ってしまうほど心にズドンと来ました。この稜線ってこんなに素晴らしいところだったのか。「うおーうひょー」と心の声が止まりません。


こういう、遠くから眺めて登山道がくっきり見えるのもちょっと萌える。

あ、いつの間にやら三ノ沢の山頂が晴れ渡ってるわ。だいぶ近くまで来ましたなぁ。

写真ではわかりづらいけど下界もうっすら見えました。大桑の辺りかな?

さて、登山道の方は岩場続きとなってきました。


岩ひとつひとつがそんなに大きくないので意外と楽々。前回の甲斐駒直登ルートのあの岩のことを思えば・・・(←まだ言ってる)。


岩場の間で、文字の消えた道標を発見。地図によるとおそらくここは濁沢大峰かな。隣の空いたスペースで休憩されていた方がいたので、挨拶だけして通過。我々も次に広いところに出たら休憩しよっと。

もうちょっと岩場が続きます。

おや、レンズの真ん中に汚れが・・・。

ここの岩場は鎖や足場がつけられているので登りやすいし下りやすい。助かります。

おお、稜線に沿ってガスが。暖かい空気と冷たい空気が見事にせめぎ合っていますね。

さて!少々広いところに出たのですかさず小休止。お腹もぼちぼち空いてきたことですし。カロリーメイトは何年(何十年)経っても、地獄の部活を思い出させてくれるな。じゃあ食べるなよと言われそうだけど、味は好きなんですよね。口の中の水分持っていかれるけど。

岩の向こうの青空を眺めながら休憩していたら上からおじさまがトコトコ歩いてこられまして。(多分濁沢大峰で休憩されていた方だと思う)
「今日はどちらまで?」と訊かれたので「檜尾まで行って、そこからバス停まで下るだけです」と答えたらちょっと不思議そうな顔をされて「もしかして地元の方?ああ、なるほどねそうだよね」と言われました
それは一体どっちの意味なんだろう(;'∀')そんなマイナールートを行くなんて、という意味かここまで来て縦走せずに下っちゃうなんて!という意味か・・・。まあ、確かにいろんな意味でぜいたくなコースですよね、アハハ。
ちなみにそのおじさまは、このあと木曽殿山荘まで行って一泊、翌日空木の予定だそう。「僕は一泊するけど、さっきすごい速さで追い抜いていった人は今日中に空木まで行って池山尾根で下るんだってさ」あ、早い段階で我々を追い抜いていった人のことだ!今日はどこまで行くのかなと思ったけどまさか日帰りとは。同じ人間とは思えない・・・。

さて、休憩もしたしおしゃべりも楽しんだし。そろそろ先へ進みましょう。檜尾まではもうそんなに遠くないはず。
↑上の写真、左下に小さく人が写っています。こうして見ると改めて、山々の存在が偉大に感じられますねぇ…。

遠くからだと結構登るように見えたけど実際はピークを巻いていくのでだらだら登りです。今回はまだあんまり歩いていないせいか思いのほか足が快調に動いてくれます。サクサク。

そして檜尾岳山頂に到着\(^^)/オツカレ千畳敷から2時間半ちょっと。休憩含め3時間弱。ちょうどいいペース。

木曽側はまだ青空を保っていますが

ガスに覆われつつある三ノ沢。

そして空木へ続く稜線は真っ白に・・・。

次に目指すのは檜尾避難小屋。

所々にヤマハハコの群生。もうお花も終わりだけど、可愛らしい。

山頂から少し下ると謎の石造りの何か(何だろうね)があって、若干登り返した先に避難小屋があります。小屋の姿もぼんやりと見えていますね。

トリカブトなどのお花を愛でながら歩いていくと

檜尾避難小屋に到着です。いろんな方の写真で見ていましたが、やはり可愛らしい姿!前後を見ても誰も来なさそうだったので入口にザックをどさっと置いて、中にお邪魔します。


綺麗な小屋の中。非常時に使うためのマットやシュラフがある、と聞いてはいましたがちゃんとありました。思った以上にたくさん。

なるほど、元千畳敷ホテルの支配人さんが寄贈してくださったんですね。いざという時には心強いですよね。

まだ他にも色々書いてあるな~と思ったのですが、
この写真を撮った直後にすぐ近くから人の気配が。床に寝転がっていたオットも同時に「あ、人が来る!」と飛び起きました。私は私で入口に放置したザックが他の方に邪魔になると思って慌てて外に出たのですが・・・
・・・あれ?誰もいない・・・??
オットも出てきて二人で辺りを見渡したのですが、誰もいませんでした。オットは人の話し声のようなものを、私は足音を聞いた、はずです。おかしいねぇ・・・もしかしたらそういう「もの」だったのかねぇ。避難小屋ってどこでもそういう噂があるものだしね。

ちょっと怖くなったけど、気を取り直してお昼ごはんにしよう\(^^)/山頂がよく見える場所に陣取って食材を広げます。

今日は簡単に、ハムカツレタスチーズサンド。

うまー!!からしマヨもあれば尚良しだな。次は持ってこよう。

おやつの道明寺&草餅も。甘いもの補給。うまい。

しばしのんびりしたら、ぼちぼち行きましょうか・・・ここから長い下りだな。

少し進んだところに分岐がありまして。よく見ると左に「水場1分」の文字。ここか!

スミマセン水場の写真はありません。
オットがさくっと見に行ってくれましたが「細いけど涸れてないよー今の時季でも汲めるならよっぽど大丈夫なんじゃないかな」とのこと。※ただしその年によって状況が異なると思うのでご注意ください。

ガスの中、小檜尾岳に到着。

足元は秋色。

小檜尾岳から少し進んだところ。森林限界が終わる辺りで振り返ってみました。右に檜尾岳山頂、左に小檜尾岳。

※オット撮影
更に左には檜尾避難小屋。いろんな方のレポを見ると、晴れて南アルプス側がどどーんと見渡せるようなときはこの小屋がいかにいいロケーションに建っているか実感できるようです。今回は真っ白で残念だったけど、またいつか。

さてここからどんどこ下りだー と、思ったのですが意外とまだまだ続くアップダウン。そして少々の岩場やハシゴ。

でも、所々に綺麗な道標が建てられていました。このルートって使う人が少ない印象だからわかりにくいかと思ったけどまったくそんなことはありませんでした。むしろわかりやすくて迷いようがないくらい。

秋色に染まった葉っぱたちを眺めながら歩きます。

これはなんだろう・・・お花が終わって実になったもの??




やたらたくさん見かけたのはカニコウモリ。立派な葉っぱ。

何かを見つけてはすぐ立ち止まってしまう。初夏や夏、お花の時季にくれば楽しそう。

おっと、またもやハシゴの登場。

道標は、新しいものから少々年季の入ったものまで様々。下山後に知ったのですが、駒ヶ根観光協会さん主催で(確か)このルートを使う登山ツアーが昨年あったそうです。そういうのもあるからちゃんと整備されてるのかな。助かりますm(__)m

この辺りに来るとアップダウンはもうほぼなくなり、ひたすらダウンダウンダウン・・・アルプスからすっかり里山の雰囲気。

こういうお花を見るといつも「サラシナショウマのような何かだ」で終わってしまいます。合ってるかな、それとも違ってるかな・・・思考停止。

この辺りは全部マイヅルソウ??木曽の風越山を思い出します。他にもイワカガミやイワウチワのような葉っぱもたくさん。

印象的な木。幹をよく見ると、

いいところに掲げられています。はい、高山植物大切にします。

倒木の下をくぐったら、上から垂れ下がるものが・・・サルオガセでしょうか。ずっと下ばかり見ていたからあまり気付かなかった。でもよく見ると足元にもちらほら落ちているなぁ。

また、何度目かのハシゴを下ります。

ようやく赤沢ノ頭に到着・・・まだ半分をちょっと過ぎたところか!!

さすがに膝が中笑いをはじめたので、久々にストックを出します。

展望がほとんどない登山道ですが、ちょっと開けたところから下界が見えました。宮田の辺りが見えているのかな?なんだか緑っぽい大きな建物があるけどツ〇ヤじゃないよね?なんて会話を交わしながらどんどこ下ります。

あ、反対側の谷を見たら林道が!バスが走ってるのが見える~。なんだかうれしい。

だんだんと沢の音が近くなってきたような気がする。更になにか別の音・・・人工的な・・・チェーンソーの音だ!林業関係の方が間伐でもしているのかな。

登山口まであと1.6km!既に膝は大爆笑だけど登山道自体はすっかり歩きやすくなったから、もうじきだな。

なんだか初夏の山みたい。緑が美しいな。
さっきから聞こえていたチェーンソーの音は下るにつれてどんどん大きくなり、やがて登山道の真横で作業されている場面に出くわしました。監督さんがすぐ我々に気付き、作業員さんに「止めて!登山者が通るよ!」と声をかけてくれました。お仕事中に申し訳ない・・・。足早に通り過ぎようとしたら、監督さんから「いやあ、ここを通る人はじめて見たよー」と衝撃的なお言葉が。
まじすか!いやたまたま監督さんが見かけなかっただけだとは思うけど何にしてもやはり人は少ないのね・・・(;'∀')
更に下ると、登山道脇にネット(鹿よけかな?)を張っている方々も。またしても作業の手を止めさせて通過するという邪魔な登山者二人連れ・・・ほんとスミマセン。でもネット張りをされていた方からは「檜尾から?どのくらいかかった?」
など質問され、3時間ちょっとかなと答えたら「それは速い方だね~」とのお言葉を頂戴しました。私の場合基本的に鈍足なので、速いと言われると無条件で嬉しくなってしまう。そうですかねウヘヘとだらしなく笑いながら、お礼を(何の?)言って通り過ぎます。

そんなこんなありましたが、無事登山道に到着!ヤッター

少し先のバス停までテクテク歩いていきます。川の水がきれい・・・涼しそう・・・


檜尾橋のバス停に着きました。お疲れ様でしたー。しばらく待っていればそのうちバスが来るかな、と思っていたら
バス停について1分もしないうちにバスがやって来ました。え、ちょちょ、待ってまだストックも手袋もしまってないし水分も取ってない、とアワアワしつつも、無事に乗車。時刻は14時過ぎ。バスはほぼ満車だけど補助席が空いていたのでそこに座らせてもらい、菅の台までゆらゆら揺られながら戻ってきたのでした。
よくよく考えてみたら、下りのコースタイム4時間半のところを3時間ちょいで下ってきたのか。今更だけどもっとゆっくり歩いてもよかったわ。ただ歩いて下るだけでも膝が笑っちゃってるのに、トレランの人たちは一体どういう体をしているんだろうな。宇宙よりも謎が深い・・・本当に・・・。
今回の山行メモ▼
合計距離:11.35km累積標高差:登り641m 下り2,124m合計時間(休憩含め):7時間2分
この登りと下りのアンバランスっぷりはロープウェイ登山ならではですね(;'∀')この一年間で5回、すべて違うコースを歩いたことになるのでまた改めて備忘録としてまとめておこうー。どなたかの参考の山行になれば、あ、逆だわ山行の参考になれば幸いです。(ならなさそうだけど…)
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